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植田明志 「理科室の遠い惑星」

¥36,666 税込
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「記憶」を媒体とした空間造形から、


ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する造形作家 植田明志。


無音のような静けさと、理想的な深層心理の核心を探求する、


その作品世界は見る者の心に深い余韻を残します。







"砂場の宝物" と題された連作のシリーズ。


「理科室の遠い惑星」と題されたオブジェ作品。


石粉粘土をベースに、ラインストーンや、本物の貝殻を用い


絵本のようなファンタジックな空気を纏った意欲作です。







尻尾部分の貝殻は取り外しが可能。


臓器のような内部は軟質粘土で作られています。


高さ:約26.5㎝。(台座下部から真鍮線上部まで)


台座:約18㎝ × 12㎝。


使用素材 : 石粉粘土、ガラス玊、ラインストーン、貝殻、真鍮線。









「砂場の宝石」


公園の砂場の魔法を、もうほとんどの人が知らないのです。


カラフルに塗装された鉄のブランコは、羽化する残暑の蝉のようにぺりぺりと塗装が剥がれていました。


世界の終わりのような炎がブランコを照らす頃、長くなったブランコの影は砂場へと想いを馳せます。










その影はもう影でなくなったかのように儚げでした。


長い影がさらにさらに長くなり砂場を通りすぎると、


世界がトワイライトを惜しみながら深い青になっていきます。


すると、砂場の住人の声がしました。


砂場の住人たちは、子供達の去る声を聞きながら、砂の中で眠っています。


砂場の住人たちは、子供達の会話を思い出しています。


そして、砂場に作られた公園のちっぽけなお城の執事になったりしました。










あの子はねえ、ここが宝部屋と言っていたよ。あの子がね、ここが宝部屋だって。


ここに置いてある石は、机だって言ってたねえ。


そっちの穴は実験室だとも言っていたよ。


明日また来るんだって。


この城の周りにバケツで目一杯水を撒くんだって。


それじゃあここは、海になるよねえ。








そしたらね、その海はね、明日また夜になった時には、


お月様やお星様なんかをいっぱい水面に映すんだ。


きっととても深く見える。深海になるよねえ。


そしたらね、明日はね、僕ら、宇宙と一緒になるよね。


翡翠色になった空は、朝日を寂しそうに迎えました。












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