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植田明志, オブジェ

「ファンタジアの車」

販売価格:345,600円

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  • 植田明志,AKISHIUEDA,ファンタジアの車,オブジェ写真1

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「記憶」を媒体とした空間造形から、


ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する造形作家 植田明志(うえだあきし)。


無音のような静けさと、理想的な深層心理の核心を探求する、


その作品世界は見る者の心に深い余韻を残します。









個展「遠すぎるパレード」用作品。


「ファンタジアの車」と題されたオブジェ作品。


クジラのような乗り物に一体化した老人のような人物が造形されています。









個展の作品の背景世界となる、白い星のパレードの物語。


過ぎゆく時間の象徴である静かなパレードの中核を為す大型の作品です。











ガラス玊の瞳が嵌め込まれたクジラの頭部。


先端には小さなハチドリがとまった日時計のような造形が施され


パレードの進む道を指し示しています。










剣のようなデザインのクジラの尻尾。


車輪部分は木材の削りだしで作られ回転します。


また、乗り物のボディ各所には細部に渡って遺跡のようなデティールが施されています。










クジラ部分の緑青掛かった色合いから、人物の身体の宇宙を想わせる深い碧へ。


古美掛かった石材のようなクジラ本体から深海を連想させる有機的なディティールへと


変化していく色と質感のグラデーションが美しい作品です。












植田明志作品に見られる特徴のひとつである左右非対称のデザイン。


様々な角度から見る事で異なる表情を見せます。


全長 横:約57㎝。高さ:約38㎝。


石粉粘土。木材。ガラス玊。ハンダ。メディウム。アクリルドーム他。


アクリル彩色。















「ファンタジアの車」




私の後ろで、歩く彼らは


初めは私の隣に来て話しかけてくれたり、


少し前を歩いて振り返っては笑いかけてくれたものでした。












それはいつかのご飯の献立だったり、夏の終わりに一緒に星を見に行ったこと


公園に秘密基地を作ったこと、そこに自分たちの宝物を隠したこと


そんな話をするのが、私は大好きでした。











しかし、彼らは段々とその歩みを遅くするようでした。


私と彼らの距離は、少しづつ、でも確実に開いていきます。


しばらくして彼らは、やがて立ち止まりました。


ねぇ、はやく来てよ!


私は叫びました。











彼らは少しだけ私のほうを見ると、胸に手を当てながら、


少し悲しそうに笑って


諦めたように、眼を閉じました。




後ろは真っ白な風景に黄昏時のオレンジの光が真横から射して、


彼らの体だけを消し、長い影だけを作っていました。


それは夕焼けの映写機から映し出された昔のフィルム映画のようで、


私はこの物語の終わりを綺麗だと思いました。










でももう、私はどうしようもなく悲しくなって、


ほっぺたも鼻も瞼も、全部真っ赤な夕焼けのようになりました。


それでもこの道はまるで意に反するように、勝手に動いていくのです。




私は、彼らを思い浮かべました。


彼らは最後に、何を想ったのでしょう。


私は彼らと同じようにしました。










胸に手を当て、少し悲しそうな顔をしてみました。


何故かこれだけでもう、涙が溢れそうになりました。


それは世界が青い海の底に沈んだようでした。


ゆらゆらと揺らめく底には、街の光。そこには人々の笑い声があり、


そこに彼らもいる気がしました。










すると胸がどうかなってしまうかと思うくらいギュっと痛くなるのでした。


でもまだ泣いてしまう訳にはいきません。渾身の力で涙をぐっとこらえます。


眼を瞑るともう涙がこぼれ落ちそうでした。




そして私は、彼らがやったみたいに、くしゃくしゃな顔のまま、


ほんの、少しだけ笑いました。











その時でした。


瞳の奥に、きらきらした青い宝石を見つけたのです。


遥か遠い宇宙を見ているかのような輝きでした。


それが、まるで星が死ぬ時に見せる膨大な光のように広がって、私を包み込みました。


沢山の珍しいビー玉を缶々の中に詰め込んで、思いっきり振ったような音を発しながら、


それはもう、優しく私を揺さぶりました。





目の前が青く、青く永遠のように輝き続けます。


私は、その中に彼らを見つけたような気がしました。


いつかのように、私に優しく笑いかけているように見えました。









「ああ、そうだったんだねぇ。」




私は青い宝石の中で、彼らと向かい合っていました。


彼らは相変わらず、頬を夕焼けのように赤くして、


少し恥ずかしそうにもじもじししながら下を向いています。


私は彼らの手を、そっととります。


彼らは、やはり恥ずかしそうに、少しだけ笑いました。


強く、誠実に握り返してきます。











そして私は、彼らとひとつになりました。





もう全てを思い出さなくても哀しくないように思えました。













私はもう、ずっと彼らと一緒に





手を繋いで、歩いています。










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