「記憶」を媒体とした空間造形から、
ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する造形作家 植田明志(うえだあきし)。
無音のような静けさと、理想的な深層心理の核心を探求する、
その作品世界は見る者の心に深い余韻を残します。
「ray」と題されたオブジェ作品。
三日月のような顔にドラゴンのような身体、
長い槍のような物を持った姿が騎士を想わせる佇まいの大型作品です。
特徴的な三日月型の顔。
塗装により金属のような光沢と質感を表現しています。
背中に乗った小さな生き物。
植田明志の作品世界に於いて
繰り返し姿を変えて登場するキャラクター"スターリン” の一種で
宇宙服のような衣装を見に纏っています。
骨のような造形の腹部。
内部には植田明志作品の特徴でもある
宇宙を想わせるような青い色の内蔵が造形されています。
使用素材:石粉粘土。アクリル彩色。真鍮線。木材。
横:約68cm。
奥行き:約17cm。
高さ:約48.3cm。
「ray」
もうずっとそれだけを頼りにしてきたんです。
僕がそこに着いた頃には、もう何もありませんでした。
あの焼けるような眩しさは、ありのままの世界を残して、
そのまま忽然と消えてしまったのです。
もう、あんまりで。泣きそうになりながら、
しゃがみこむしかありませんでした。
きっと僕があなたに触れた瞬間に、光は溶けて、
このありのままの世界を、僕に見せたかったのね。
これからも、続くんでしょう?
光のない僕が、月になるために。