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植田明志 「風の骨」

¥385,000 税込
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「記憶」を媒体とした空間造形から、


ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する造形作家 植田明志(うえだあきし)。


無音のような静けさと、理想的な深層心理の核心を探求する、


その作品世界は見る者の心に深い余韻を残します。











個展「虹の跡」用作品。


「風の骨」と題されたオブジェ。


記憶を思い出す時に吹く風の化石を表現した作品です。












時間の止まった空間で、空に浮かぶ記憶の化石。


その姿は、動物の頭骨を想わせるシルエットとなっています。


四方に長く伸びた角のような突起には、


唐草模様に似た"風の模様"が螺旋状に彫られています。










石粉粘土。


全高:約81㎝(台座部分含む)。


本体 全長:約60㎝。





















「風の骨」


彼は、いつからそこに居るんだろう。


少なくとも僕が生まれてから、ずっとあの白い空に浮かんでいる。


人々から風の骨と言われている彼は、時間が経つにつれその形を歪にしていった。





彼の周りをたくさんの鳥たちが飛んでいる。












忘れられていく記憶。


いつか、全部消えてしまう。


僕らが居たことも、彼がいたことも、この世界はいつか、思い出せなくなる。


僕は彼を見上げて、少し祈る。






近くで鳥たちが、互いの羽にクチバシで模様を彫っていた。


彼らは、つがいになると、確かめ合うように、コンコンと互いの模様をついばむ習性がある。


それは、風の骨の記憶を、彼らは必死に残そうとしているように見えた。











彼らの羽は硬質の骨でできており、太古の地層からその化石がよく発掘された。


そのすべてに、例外なく模様が彫られていた。


花のような模様。海の生き物。抽象的な幾何学模様。




風の骨を見ると、夕焼けに照らされて、その複雑な輪郭を輝かせた。


その輝きは僕を少なからず安心させる。











あなたは、消えていくけれど。


僕は覚えているよ。


鳥たちも、あなたのことを覚えてる。


だから、大丈夫。







忘れられていく記憶。


いつか、全部消えてしまう。


僕らが居たことも、彼がいたことも、鳥たちのことも、この世界はいつか、思い出せなくなる。














それでも、いつか誰かが、僕らが居た証を。


見つけてくれますように。


















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