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植田明志 「よそのこ」

¥66,000 税込
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「記憶」を媒体とした空間造形から、


ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する造形作家 植田明志(うえだあきし)。


無音のような静けさと、理想的な深層心理の核心を探求する、


その作品世界は見る者の心に深い余韻を残します。











個展「虹の跡」用作品。


「よそのこ」と題されたオブジェ。


「虹の跡」の物語の舞台である、記憶が降り積もって出来た山。


その山に棲む、妖精のような不思議な存在であり、


記憶の案内人であるキャラクター「ポーポー」。


「よそのこ」は「ポーポー」になれなかった存在です。










鮮やかな色合いのポーポーたちに対して、


深い夜の闇を纏ったかのような「よそのこ」。


その身体は黒い体毛に覆われており、


尻尾が変化した乗り物のようなものにまたがっています。








石粉粘土。


アクリル彩色。


全長:約14.5㎝。


高さ:約17.5㎝。


















『よそのこ』



ぽてぽてと音を立てて、きょろきょろと注意深く頭から生えた角を動かしながら、


よそのこは歩いていた。





なんでも、探しているものがあるらしい。


その角はレーダーの役目をしているようだった。





子どものころ、よく「よそのこと遊んだらいけない。」と、親にきつく言われてきた僕は、


大人になった今ならいいだろうと、よそのこを持ち上げようとした。


すると、角を少しだけ大きく出し、威嚇してきたが、すんなりとつままれて持ち上げられてしまった。












大きさはすっぽりと手に収まるくらいで、じーっと僕の顔を見ているのだった。


尻尾から生えた手足をぱたぱたと動かし、先端を点滅させた。




よそのこは、何かがあった証を探しているようだった。




でもきっと僕が手伝ってあげては意味がないのだろう。


彼に見合うものがあるのだろう。


僕はそっとよそのこを押入れのドアの隅へと置いた。













よそのこは30秒ほど止まったままでいると、


何かを思い出したように押入れの奥へと駆けていった。


明日になったら、そっと押入れを覗いてやろう。気づかれないようにさ。








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