「記憶」を媒体とした空間造形から、ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する造形作家 植田明志。
無音のような静けさと、理想的な深層心理の核心を探求する、その作品世界は見る者の心に深い余韻を残します。
「風を歌にして」と題された精霊たちが棲む森に居るクジラを表現した作品。
森の地面を想わせる台座から迫り出した、躍動感溢れるクジラの造形が見事な作品です。
クジラは森の地面から生えているようでもあり、浮かび上がってきているところのようでもあり
見るものに様々な想像力を掻き立てさせる不思議な魅力に溢れています。
腹面には、植田明志が表現する山や森の精霊、神の象徴 “山人(やまと)”たちに共通する
樹々のようなデティルに、老人のような顔が造形されています。
宇宙を想わせる深蒼に彩られたクジラの背面には、鼻穴と唇を想わせる意匠が施されています。
高さ: 約60㎝(台座部分含む) × 横44㎝。
石粉粘土、油彩、セラミックスタッコ。
※こちらの作品は植田明志個展「惑星少年」会期終了後、2013年4月21日以降のお渡しとなります。
お支払い方法は銀行振込、郵便振替、paypalのみとなり、代金引換便はご利用頂けませんのでご了承下さい。
「風を歌にして」
青い風に乗って、歌が聴こえてきた。
ソーダの中のビー玉の様な柔らかさ。
太陽に透かしてみる。
少し切ない水色。
少し優しい青色。
心の中を、開放する。虹色のネガフィルム。
少し冷たい。ほんのり青い。
触れたいけど、触れられない。
いつかの記憶。
木の洞の中の宝石を
水たまりの中の宇宙を
路地裏の巨大な蜘蛛の巣を
ビー玉の中の少年を、誰も知らない。
僕は風。
あの時の、歌を知ってる。
あの時の鼓動を、感じてる
いつかの夢を、覚えてる。