「記憶」を媒体とした空間造形から、
ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する造形作家 植田明志。
無音のような静けさと、理想的な深層心理の核心を探求する、
その作品世界は見る者の心に深い余韻を残します。
深い山に入り込んだ時にふと感じる気配のようなもの〜
古来より信仰の対象とされ、畏怖されてきた、山々の精霊や妖怪のような
目に見えぬ存在に、姿・形を与えて具現化した通称 “山人(やまと)”と呼ばれるオブジェ作品。
夜の木の向こうに居るフクロウのような姿をした山人です。
風が吹いて、木々がガサガサとざわめく時には、この山人が飛んでいる時なのかもしれません。
縦 18㎝ × 横24㎝ × 高さ 13.5㎝ 。
※こちらの作品は植田明志個展「惑星少年」会期終了後、2013年4月21日以降のお渡しとなります。
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「夜の隙間に」
針葉樹を、何かが揺らした。
ガサガサと、葉っぱが騒がしく揺れる。
ただ、風が吹いたみたいだ。
轟々と、風が歌う。
一瞬、何かもうひとつの歌が聞こえた気がした。
前を歩く祖父に、尋ねてみた。
すると、祖父は目を合わせずに
森の風は、夜の向こうから、やってくるんだ。
と、教えてくれた。
その時、真っ暗な木々の隙間から、大きな翼が見えた気がしたのだが
祖父にそれを言っても
ただにこにこ笑っているだけだった。