「記憶」を媒体とした空間造形から、
ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する造形作家 植田明志(うえだあきし)。
無音のような静けさと、理想的な深層心理の核心を探求する、
その作品世界は見る者の心に深い余韻を残します。
個展「遠すぎるパレード」用作品。
「夜になった猫」と題された作品。
夜を想わせる紺碧の体色に、流れるような体毛の表現
闇夜で光るように4つの目が輝いています。
猫の背中に乗った "大切なもの” の象徴である星の使い。
星の使いは、時間の流れを表す "風のマフラー" を首に巻いています。
全長:約15㎝。高さ:約14.5㎝。幅:約7㎝。
石粉粘土。
アクリル彩色。
※こちらの作品は、植田明志個展「遠すぎるパレード」
会期終了後(2014年11月30日〜)以降のお送りとなります。
納期に関してご希望がございましたらご相談下さい。
「夜になった猫」
どこかで夕焼けが丸くなって眠るころ。
頃合を見計らって、夜になったネコ達が風のように駈けていくのが見えました。
地平線に沿って、何十匹ものネコ達が一斉に走ります。
一匹はまだ眠そうにとことこ歩いていました。
上にはぽっかり穴があいたようなまん丸お月様。
金色にぴかぴか光ってネコ達の背中を照らしています。
ネコの背中に乗った星の子が少し光ったと思ったら、
一瞬の間に夜の空に溶けていきました。
きっと、どこかにいる王様の寂しい声を聞いて、駆けつけにいったのでしょうか。