「記憶」を媒体とした空間造形から、
ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する造形作家 植田明志(うえだあきし)。
無音のような静けさと、理想的な深層心理の核心を探求する、
その作品世界は見る者の心に深い余韻を残します。
個展「遠すぎるパレード」用作品。
「スピカの歌」と題されたオブジェ作品。
「遠すぎるパレード」の物語世界に於いて
始まりと終わりを象徴する卵〜コズミックエッグをイメージした作品です。
アイデンティティの象徴であるキャラクター "テイテイ”たちが大事そうに運んでいる金色の卵。
割れた卵からは碧い色をした記憶の結晶が溢れだし、
その中から双子の子供が生まれてきています。
2つの恒星が両者の重心の周りを軌道運動している天体「連星(binary star)」
双子星ともよばれる連星を象徴するように、寄り添う二人の子供が
碧い記憶の結晶の海から具現化しています。
極彩色に彩られた歯車を想わせる2枚の翼。
大きな翼の内側の背部に当たる部分にも、大小様々な歯車が犇めくように造形されています。
翼は双子の子供たちの背中からそれぞれ一枚づつ生えており、
二人で一対の翼を形成しています。
全長:約23㎝。高さ:約30㎝。幅:約14㎝。
石粉粘土、アクリル彩色。
※こちらの作品は、植田明志個展「遠すぎるパレード」
会期終了後(2014年11月30日〜)以降のお送りとなります。
納期に関してご希望がございましたらご相談下さい。
※こちらの作品はラッピング対象外となります。ご了承下さい。
「スピカの歌」
僕とあなたの歌は、あなたと僕の歌は、どこまで届いているのでしょうか。
きっとこの卵が孵化するとき、誰かが救われるのだと思います。
だから僕ら、運ばなきゃねぇ。
どこまでも、いつまでも、いつかを想って。
卵に描かれた宇宙の法則は、僕らには解りません。
でも、きっと双子なんだろうなぁ。というのは、なんとなく解りました。
だって。微かに、遠くで二人分の声が聞こえてくるんですもの。
それは本当に遥か遠くの、連星から聴こえてくるように思えました。
その声は徐々に大きくなり、歌を歌っているのだと解りました。
もう、はやく運ばなきゃね。
誰かが、誰かの手を握り締めるときに、きっとこの卵が孵ります。
今、あなた達の歌は、どこまで届いているかわからないけれど
僕らには、聴こえているよ。