「記憶」を媒体とした空間造形から、
ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する造形作家 植田明志(うえだあきし)。
無音のような静けさと、理想的な深層心理の核心を探求する、
その作品世界は見る者の心に深い余韻を残します。
個展「遠すぎるパレード」用作品。
「怪獣少年」と題されたオブジェ作品。
怪獣のキグルミを着たような子供の姿がデザインされています。
1枚1枚精密に造形された怪獣の鱗の表現。
目を閉じた子供の表情や淡い色彩は絵本の中から抜け出てきたかのような優しい印象です。
全高 約16㎝と植田明志作品の中では小振りな部類に入る作品ですが
怪獣のソフトビニール玩具をイメージしたサイズになっています。
夢見るように目を閉じた子供の顔。
その頬は寒さのせいで赤くなっています。
首には時間の経過を象徴する "風のマフラー" を巻いています。
高さ:約16㎝。奥行き:約12㎝。
石粉粘土 アクリル彩色 レース。
「怪獣少年」
いつも、お気に入りの怪獣のぬいぐるみをずっと抱いているのですが
それでも、このところちっとも眠れないのです。
カーテンからは、今日も朝の知らせ。
それでも眼を閉じてみるのです。
暗闇の中、たまに赤く光ったり、ちろちろと瞬く光がある気がしました。
いつも宇宙へタイムスリップするような、そんな感覚になります。
遠くで鳴き声が聞こえます。怪獣かなぁ。
きっと僕を食べにきたのです。
僕の夢は、きっと有り得ないこと。いつか、なんて言葉では、言い表せないのです。
それでも、眠れたら、きっと叶う気がするのです。
夢の中なら、きっと。
そう思うと、どきどきして眠れなくなるのでした。
今日は、叶うでしょうか。