「記憶」を媒体とした空間造形から、
ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する造形作家 植田明志(うえだあきし)。
無音のような静けさと、理想的な深層心理の核心を探求する、
その作品世界は見る者の心に深い余韻を残します。
立体絵本をイメージした「embrace」シリーズ。
「ガチャガチャ山の神父」と題された台座付きオブジェ作品。
人形本体と背景が描かれた台座がセットになります。
知育玩具をイメージしたシルエットで造形された人形本体。
動物の頭骨のような顔をした神父。
その手には赤いロウソク石を大事そうに持っています。
教会を想わせるシルエットの台座。
背景には神秘的な光の十字架が描かれています。
左右のパーツは蝶番により約90度、可動します。
【ガチャガチャ山の神父】
「誰のためにつくられたかもわからない、
ずっとずっと昔からそこにある大きなお墓。
彼はずっとそれを見守っている。
今日も彼は、お気に入りのロウソク石を灯しながら、
お墓へと向かっていきます。
何故あなたは、誰のためかもわからないお墓を、毎日訪ねているの?
彼はただ、ガチャガチャと笑うだけでした。」