「記憶」を媒体とした空間造形から、
ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する造形作家 植田明志(うえだあきし)。
無音のような静けさと、理想的な深層心理の核心を探求する、
その作品世界は見る者の心に深い余韻を残します。
「風を歌う双子」と題されたオブジェ。
鳥のような身体に、目を閉じて眠っているような子供の顔。
羽毛の1枚1枚に至るまで緻密なディテールが施され、
生命感を感じさせるような自然な佇まいと、淡い色彩で纏められた
柔らかな雰囲気が愛らしい作品です。
「風を歌う双子」
この不可思議な鳥は、いつも何か歌っている。
歌っていなければ、もしかしたら自分たちが離れ離れになるのではと恐れているように見えた。
先にひとりがリードし、慌ててもうひとりがハミングする。
私はそんな彼らのお世辞にも上手とはいえない歌を聴きながら、
遠い昔の記憶に想いを馳せた。
するといつかの記憶が私に呼応するように、寄り添ってくるのだ。
私は記憶と手を取り合い、照れくさそうにに私を見て、何かを呟いた。
私は慌てるように首をふる。
この記憶とのへたくそなやりとりは、いつまで経っても慣れないものである。
石粉粘土。
アクリル彩色。
木材。
縦:約72cm(台座部分含む)。
横:約70cm。奥行き:約54cm。
※こちらの商品は、植田明志個展「風の祭-KAZE Fes-」会期終了後
(2018年11月4日以降)の発送となります。
※こちらの商品はラッピング対象外となります。