「記憶」を媒体とした空間造形から、
ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する造形作家 植田明志(うえだあきし)。
無音のような静けさと、理想的な深層心理の核心を探求する、
その作品世界は見る者の心に深い余韻を残します。
「moon child」と題された大型のオブジェ作品。
身体を丸めた姿勢で、羊水に浮かぶ胎児を想わせる姿が造形されています。
また、頭部いは両生類の幼生を想わせるエラが生えており
2枚の翼には月のクレーターのようなモールドが施されています。
「moon child」
月と夜が離れ離れになってから、もう随分時間がたった。
街の根は随分と伸び切って、今にも地面についてしまいそうだった。
夜はといえばいまだにずっと子供のままで、
何かを掴むようなしぐさをしては、目に涙をためているだけだった。
まん丸の目を見開いては、その中に月を閉じ込めておこうとしていた。
二度と離れ離れにならないように。
今思うと、きっと月は夜のために祈っていたのだった。
夜は月を欲し、月は夜を欲していた。
月をなくした夜は夜であることを忘れてしまった。
石粉粘土。
アクリル彩色。
高さ:約90cm。(台座下部から翼の上部まで)
台座部分:約45cm×約47cm。
※こちらの商品は、植田明志個展「風の祭-KAZE Fes-」会期終了後
(2018年11月4日以降)の発送となります。
※こちらの商品はラッピング対象外となります。