斧原由季の絵のメインモチーフである心臓や、脳、昆虫などは
トロンプルイユ(騙し絵)のように見る者を惹きつける不思議な美しさを湛えています。
そこに描かれるのは、擬態と寄生を繰り返し、刻々と姿を変えながら生き延びて来た生命そのものであり
溢れるような生命の息吹と死という両義性を感じさせるものとなっています。
心臓をメインモチーフに、無心〜静かな心境を表現した平面作品「Phallus heart」。
心臓下部の網状に描かれた部分は、キヌガサタケの根状菌糸束を連想させ、
綿糸のカギ編みによるフジツボ状のデティルもユニークです。
手漉き紙。アクリル。鉛筆。綿糸。パネル。
36.5 × 25.7。