斧原由季の絵のメインモチーフである心臓や、脳、昆虫などは
トロンプルイユ(騙し絵)のように見る者を惹きつける不思議な美しさを湛えています。
そこに描かれるのは、擬態と寄生を繰り返し、刻々と姿を変えながら生き延びて来た生命そのものであり
溢れるような生命の息吹と死という両義性を感じさせるものとなっています。
脳と神経をモチーフにした平面作品「おもかげ」。
「肉体を失ってもなお、その人の精神が他者の心に宿る」
脳から伸びる神経の束が髪の毛を思わせ、女性の後ろ姿と重ね合わせた幻想的な趣の作品です。
手漉き紙。アクリル。鉛筆。パネル。
53 × 33.5。