「鳥の王」に登場する鳥の頭部を用いて、魔術師によって作られた杖。
視力の弱い鳥を導き、操る為、鳥の嘴には鈴が取り付けられ、
その鈴は永い年月を経て融合し、嘴と一体化しています。
「 ルシエルと名付けられた鳥 」
その鳥がルシエルと呼ばれるようになったのは、杖に加工される少し前の事である。
鳥の種類は所詮、人による勝手な区分であって、鳥にとってはどうでも良い事なのだが
その区分によれば、かつて猛禽類と呼ばれた非常に優れた目と
高い攻撃性を秘めた鳥という事になる。
彼は478の仲間と伴に鳥の王に従い、必要とされた攻撃を行ったが
鳥の王とは違って不死ではなかったので
残骸の中から発見された時は頭部だけの状態であり既に死んでいた。
人は当初彼らを敵視し、同時に非常に恐れたので廃棄出来ず
そのまま封印し、その攻撃自体さえ認めがたいものだった。
だがやがて文明が崩壊し、それまで人がその長い歴史の中で構築してきた
あらゆるシステムが意味を成さなくなる中で、彼らを特別な存在と考えるようになり
寧ろその力にあやかろうとさえしたのだ。
結果として早期に封印され、地中深くに廃棄された鳥の王を除いて
多くの鳥の残骸が聖なるもの、力あるものとして取り扱われるようになり
生き残った人々の間で貴重なものとして高価に取引された。
後にルシエルと人に呼ばれるようになったこの鳥は口に大きな鈴をくわえていて
発見されたときは嘴が溶けて鈴と融合していた。
何故そんな大きな鈴をくわえていたかは推論でしかなかったが
当時の記録からその鈴で他の鳥を誘導していたのではないかと考えられるようになっていた。
結果として人は、彼を鳥の王の腹心のような存在であり、
仲間の鳥を誘導し作戦を指揮していたと考えられるようになったのだ。
全く人の勝手な言い分だが、そのため特に貴重なものとされ、
彼は杖として作り直され、色々な人間の手を経た後、
人類世界の最後で裁量な指導者と後に評価された Petr Holy の所有するものとなった。
Petr Holy にとってこの杖は残された人類を少しでも長く幸福に暮らせるよう
あるべき世界へと導く為のものであって、彼は決断に迷った時に、この杖を頼ったとされている。
彼の死後は彼の遺言に従い、この杖は売り買いされる事は無く大切に保管された。
長い使用で傷ついたところも補修される事も無くそのままの状態で保管され
誰もそれを破るものはいなかった。
それこそが Petr Holy が今も尚高く評価される所以であろう。
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